教養試験について
教養試験は,1次試験でマーク式で行われます。朝早くなので,うまく頭を働かせる必要のある試験です。 問題は,前半の必須問題と後半の選択問題に分かれます。各科目の出題数は次のようになっています。
必須問題 | 選択問題 | ||
---|---|---|---|
科目 | 問題数 | 科目 | 問題数 |
時事 | 3 | 自然科学 | 10 |
現代文 | 3 | 人文科学 | 12 |
英文 | 7 | 社会科学 | 8 |
判断・数的 | 12 |
選択問題は30問から20問選択
選択問題の細かい科目分けは年によって変わったりしますが,H.20は次のようになっています。
自然科学 | 人文科学 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
数学 | 物理 | 化学 | 生物 | 地学 | 思想 | 文芸・芸術 | 日本史 | 世界史 | 地理 |
2 | 2.5 | 2 | 2 | 1.5 | 4 | 1 | 2 | 3 | 2 |
過去物理で出題された問題は,物理に入れた。また,融合問題は両方に0.5問分と数えた。
社会科学 | |||
---|---|---|---|
法律 | 国際 | 経済 | 社会学 |
3 | 1 | 3 | 1 |
以前作ったものに手直しして,ここ7年間の知識系の出題プロットを作成しました。参考にしてください。
教養試験対策
まず,教養試験の比率は必ずしも高いものではありません。もちろん18点をとらなければ足切りされますので, 18点を確実に超えることが最初の目標となります。
一方で,30点を超えるとそれ以上点数が伸びなくなる,というのも教養の大きな特徴です。 この理由は明確で,文章理解,数的判断,自然科学である程度点数がとれるようになったのが30点くらいですが, これ以上伸ばすためには,選択科目の1科目1科目を勉強していき,それでようやく2,3点伸びる,という形になるからです。 つまり,点数を伸ばすのに多大なる努力が必要となるのです。もっとも,そうしたところで,配点は専門より低いのです。
以上をふまえ,理系の場合の教養の戦略を書いておきましょう。
1.まず一度過去問を解いてみること
まず,自分が何点とれるのか,その実力を測ってみましょう。18点に及ばないなら,できる限り早く対策すべきです。 一方,25点を超えるようなら,問題はありません。
2.目標は21〜25点。これを超えるように科目を絞り込め
もちろん教養での話ですが・・・。21点は近年の平均点あたりです。25点は平均点を少し超えるくらいです。 理工Iであれば,専門の方が重要ですから,これで大丈夫です。 ただし,倍率の高い理工IVの場合は30点くらいほしいかもしれませんが,あくまで専門重視です。
さて,選択科目ですが,問題数,難易度にばらつきがあります。最も重要なのは,英文の7問です。 というのも英文は,並び替えの1問を除くと,ほとんどレベルの変わらない問題が並ぶため, ある程度のレベルを超えると,確実に6点が入るからです。次に重要なのが数的判断です。 これについては,数年ごとに傾向が大きく変わるのですが,これは別に書きます。
その上で,残りの選択問題をみることになりますが,お勧めとしては,自然科学の他には, 思想でしょうか。また,時事対策を少し細かく行うことによって,法律と経済での1点加点も望めます。
いずれにしても,足切りを超えれば勝負は専門です(もし,今でも「理系は,専門はみんなできるから差が付かない」 と話をしている人がいたら,それは現状を全くわかっていない人だと思ってよいです。 今でもそういう話をしている人がいるのでしょうかねぇ)。
H.22数的・判断感想
昨年は全体的に易しかったのですが,あまり変わらないのかなあ,という感じです。 ただし,判断がやや難しくなっていますので,少し差がつきやすいセットかもしれません。 推論で解くとなると難しい問題も,手数でも解けるようになっていたりして, 何とか点数がとれるように,との出題者の配慮でしょうか。 資料解釈が計算のいらない問題になっているところも,少し驚きでしたが, 全体的には,ここで点数を稼いでおきたいところです。
問題番号 | 難易度 | 解答 | 感想 |
---|---|---|---|
14 | B | 数量関係の本格的な問題。特殊な数字に気づけるかどうかです。国家I種としては標準。通常の基準ではやや難です。 | |
15 | B | 少し手数の必要な対応関係の問題です。うまく1通りに決まるのですね。やや難でしょう。 | |
16 | B | 解答 | 面白い問題です。公務員試験として有名なビン取りゲームの拡張ですが・・・典型問題なのにこんな出し方があるのですね。 |
17 | A | 解答 | いわゆる仕事算の典型問題。連立方程式の易しい問題で,確実にとりたいところ。 |
18 | A | 昨年も似たような問題がありました。意志決定の問題に見せかけて,非常に易しい期待値の計算です。 | |
19 | A | 知識が物を言う問題。とはいえ,一筆書きができる条件は知っておいてもらいたいところ。畑中先生の直前の記事に,ずばり答えがあったそうですよ。 | |
20 | B | 解答 | 奇数偶数だけが問題です。場合を分けていけば解くことができますね。 |
21 | B | ひたすら面倒くさい場合の数の問題。上手い解き方ってあるのでしょうか?ただ,肢の都合から,正解をとりやすい問題ではあります。 | |
22 | A | 線形計画法の問題。昨年もありました。が条件が1つ増えて,少々検討が必要となります。でもマーク式ですからね。 | |
23 | A | 条件付きの(ベイズの)確率の問題。理工系なら,当然に用意していたはずの問題です。 | |
24 | B | 統計量に関する問題。新傾向以来の出題ですが,そこまで難しくありません。分散の意味を知っていますか,ということですね。 | |
25 | B | ローレンツ曲線の問題ですね。かなり昔に出題があります。知っていればすぐですけど,知らなくてもア,エを判断したい。問題文が優しいですね。 |
H.21数的・判断感想
数的・判断の10問の感想です。解答もつくろうかなぁと。 一時期に比べると本当に簡単になったなあ,という印象です。 これなら,地上・国2の問題集を使って対策をした方がよいでしょう。 とはいえ,さすが国I。簡単とは言っても,スパイスがきいていて,うっかり間違えやすい問題がかなり入っています。 個人的には,こんな出題が望ましいのではないか,と思います。 それに比べると,スパイスすらきいていない工学の基礎は・・・
解答ですが,下書き段階では間違っていないと思うのですが・・・Wordで打っているうちに変な間違いとかしそうで怖いのですが, それでも公表しておきます(あと問題の読み違いも怖いか)。間違いがありましたら遠慮なく掲示板でもメールでもいいので,指摘してください。 解答は,多少うまい方法があっても,現場に即した方法をとっています。現実的な解法,ということで。
問題番号 | 難易度 | 解答 | 感想 |
---|---|---|---|
14 | A | 解答 | ド・モルガンと対偶の知識問題ですね |
15 | B | 解答 | 予測が外れたこと以外に,その予測をした=同じものは選ばない,ということに気づくのが最大かつ唯一のポイントです |
16 | B | 解答 | 困ったかもしれませんが,すべての場合を書き出せば終わりです。こういう問題は差がつきますし,個人的に好きです。 |
17 | A | 解答 | 線形計画法そのものです。理系なら確実に。理工Iなら専門にまで・・・ |
18 | A | 解答 | 期待値の基本問題。問題文の意味さえわかれば易しいです。昔はこうした方向の問題が多かったですね。 |
19 | B | 解答 | 全部の場合を書き並べるのみです。とはいえ逆回りは考えなくてよいので,実質4通りです(うまく考えれば2通り)。こうした方向は個人的に好きです。 |
20 | B | 解答 | 今年最も面白い問題です。肢4,5をしっかり切るのは難しいのですが,正解の肢3がすぐに正しいとわかってしまいますね。 |
21 | B | 解答 | 特別区で頻出の問題です。知識がものを言います。もっともヒントから「普通の回転数を2倍すればいいのだな」と考えてもよいでしょう。 |
22 | A | 解答 | 影となる「体積」(光の見えない部分の体積)ならともかく,面積なら各頂点の影を結ぶだけ。というかAだけしかないのですが・・・。 簡単すぎて疑って悩んだ人がいたかも。 |
23 | A | 解答 | 方程式の問題。といっても中学1年レベルですが(厳密には中学範囲外かもしれないが)。 |